北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会1月23日(堤)

 皆様

おはようございます。博士課程1年の堤です。
ご案内が遅くなって申し訳ありません。
本日の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。

Title:
Live-cell fluorescence correlation spectroscopy dissects
the role of coregulator exchange and chromatin binding in retinoic acid
receptor mobility

Authors:
Peter Brazda, Tibor Szekeres, Balazs Bravics, Katalin Toth, Gyorgy Vamosi,
and Laszlo Nagy

Journal:
Journal of Cell Science (IF=6.290)
(124), 3631–3642, 2011

以下、日本語訳です。

レチノイン酸受容体(RAR)は核内受容体スーパーファミリーの一員である。このリガンド誘導転写因子は核内においてDNAにレチノイドX受容体とのヘテロ二量体として結合する。核は動的な区画であり、ライブセルイメージングの技術はリアルタイムでの転写因子の動きを研究することを可能にする。受容体の動きを左右する、分子相互作用を明らかにするため、我々は蛍光相関分光法(FCS)を用いてEGFP-RARの拡散を検討した。リガンド存在下で、我々は二つの異なる種類の挙動を同定した。fast成分はD1=1.8-6.0 μm2/secondの拡散係数を持ち、小さなオリゴマー
形態に対応する。一方、D2=0.05-0.10 μm2/secondのslow成分はRARのクロマチンもしくは他の巨大構造との相互作用に対応する。RARリガンド結合ドメインフラグメントもまたslow成分を持つ。このslow成分は恐らく、インタクトなRAR-RXR複合体よりも低アフィニティーな、RXRを経由した間接的なDNA結合を示すのだろう。
重要なことに、RARアゴニスト(受容体刺激薬)処置は、fastやslow成分の挙動に有意な変化を伴わずに、平衡状態をslow成分側へシフトさせた。DNAや共役制御因子との結合能が変化した一連の受容体の変異体を用いることで、我々はslow成分が恐らくクロマチン結合と関係しており、共役制御因子複合体での共役制御因子の交換が、リガンド活性化中のRARの再分布に寄与する決定的要因であることを見出した。


よろしくお願い致します。


北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会1月16日(前鼻)

 皆様

おはようございます。修士1年の前鼻です。
本日の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。

Title:
The role of electrostatic interactions in the membrane binding of melittin

Authors:
Kristopher Hall, Tzong-Hsien Lee, Marie-Isabel Aguilar

Journal:
Journal of Molecular Recognition
Volume 24, Issue 1, pages 108–118, January/February 2011

melittinとC末トランケート体21Qのリン脂質膜への結合をSPRを用いて調べた。双性
イオンをもつDMPCとDMPE、DMPCとDMPGの混合体DMPC/DMPG、DMPEとDMPGの混合体DMPE/
DMPGを膜モデルに用いた。melittinは膜複合体に即座に結合した一方、正電荷を減少
させた21QはDMPC、DMPC/DMPGに、より緩やかに結合した。このことは結合の初期に静
電相互作用が関わっていることを示している。21Qの正電荷の喪失は有意にDMPC/DMPG
/コレステロール、DMPE、DMPE/DMPGへの結合を減少させた。
静電的役割はbufferにNaClを加えることでも明らかとなった。melittinの膜への結合
に影響を及ぼし、より均一で濃度依存的な結合上昇をもたらした。
biosensorの結果はCDにより決定したペプチドの構造とも相関しており、αヘリック
スの構造がより結合親和性を高めていることがわかった。
総じて、これらの結果からmelittinのC末の正電荷が膜結合に重要な役割を果たし、
ペプチドの電荷の調節が異なる脂質膜への選択的結合を、カチオン性残基の割合の調
節が膜結合への程度を調節しているのではと考えられる。



よろしくお願い致します。


北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会1月16日(藤井)

皆様
 
修士1年の藤井です。
今週の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。
 
Title
Identifications and characterizations of proteins from fouled membrane surfaces of different materials
 
Authors
Yu-Tzu Huang, Tsung-Han Huang, Jin-Hua Yang, Rahul A. Damodar

Journal
International Biodeterioration & Biodegradation

Abstract
MBRsは自治体や工業汚水を処理する生物処理として幅広く使われている。しかし、膜ファウリングはMBRの商業化を邪魔する最もメジャーな障害です。微生物によって分泌された細胞外重合物質(EPS)はファウリングを起こすの主な要因です。EPSは主にタンパク質と炭水化物で構成される。タンパク質がファウリングの形成の主な原因であることがはっきりしているにも関らず、ファウリングタンパクの特徴についてはわずかしかわかっていない。本研究ではEPSにある異なるタンパク質の同定と性質決定とlaboratory-scaleで設置したMBRの3つの膜(PAN,PVDF,PTFE)との関連性に焦点を当てた。親水性のPANから抽出されたタンパク質が最も分子量が大きく、親水性(平均分子量=56.14 kDa,GRAVY=-0.191)で、疎水性のPTFE膜から抽出されたタンパク質が最も分子量が小さく、疎水性(平均分子量=46.67 kDa,GRAVY=-0.001)であった。分子量が小さいタンパク質ほど大きな細孔の膜でファウリングを起こしやすく、逆もまたしかりであった。全ての膜から抽出されたシャペロンや外膜タンパクの性質決定は抗ファウリング膜の作成を促進させる。
 
現在、私が行っている実験と同様に膜からタンパク質を抽出し、特性を解析するという実験です。皆さんが行っている実験とはだいぶ異なると思いますが、よろしくお願いいたします。


北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月26日(高梨)

 皆様

こんにちは。修士課程1年の高梨です。
本日の雑誌会で紹介させていただく論文です。

Title
Identification of an “α-helix-extended segment-α-helix” conformation of
the sixth transmembrane domain in DMT1

Authors
Shuyan Xiao, Jiantao Li, Yuxia Wang, Chunyu Wang, Rong Xue,Shuo Wang, Wang,
Fei Li


Journal
Biomembranes,Volume 1798, Issue 8, August 2010, Pages 15 1798, Issue 8,
August 2010, Pages 1556-1564

概要

 DMT1(二価金属イオントランスポーター1)は細胞内に二価の金属イオンを取り込むプロトン共役輸送体の1つである。DMT16番目の膜貫通領域(TM6)に存在する高度に保存された2つのHisへの変異導入により、そのHisがプロトンと金属イオンの共輸送において重要であることがわかっている。

 本研究では、DMT1TM6部分に相当するペプチド(WT)とその変異体であるH267AH272A3つのペプチドのSDSミセル中における構造と位置をCDNMRを用いて明らかにした。

 その結果、WTのペプチドの構造は2つの変異体と明らかに異なっており、WTで確認されたTM6の特異的な“α-helix-extended segment-α-helix構造は変異体では確認されなかった。このことから、“α-helix-extended segment-α-helix構造は輸送体とプロトン・金属イオンが結合するのに重要な意味を持っており、2つの高度に保存されたHisへの変異によって生じたコンフォメーション変化はDMT1の輸送活性の欠損と相互に関連があると考えられる。

北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月26日(土肥)

おはようございます。B4の土肥です。

今日の雑誌会で発表させていただく論文の概要です。

Cancer cell-selective in vivo near infrared photoimmunotherapy targeting specific membrane molecules

現在、癌治療の方法は外科療法、放射線療法、化学療法と大きく3つある。

これらの治療の副作用を最小にすることは(分子標的癌治療、Armed抗体治療(1)を含む)開発が進められている。

今研究では、新しいタイプの分子標的癌治療、photoimmunotherapy(PIT)を開発した。

その治療法は上皮細胞増殖因子受容体(HER)を標的とするモノクローナル抗体(mAb)と共役する近赤外(NIR)フタロシアニン染料(IR700)に基づく標的特異的光感受性物質を使っている。

細胞死はmAb-IR700-bound標的細胞にNIR lightを照射した後、直ちに誘導される。そして生体内の上皮細胞増殖因子が発現している標的細胞にNIR lightを照射した後、腫瘍が縮小したのを観察した。

mAb-IR700複合体は細胞膜と結合している時に最も効果的に働き、結合してないときは光毒性を発しない。このPITのメカニズムは従来の光線力学療法(PDT)とは異なってる。そして、この従来とは異なる標的特異的PITのメカニズムを用いれば、今までになかった新しい癌治療ができる。

 

1

Armed抗体治療:抗体と放射性同位元素(RI)や抗がん剤を結合させたものを使った治療


北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月19日(小笠原)

皆様
 
学部四年の小笠原です。
来週の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。
Cre-LoxP遺伝子組み換え法という、マウスに対する遺伝子組み換え操作を行っています。
私自身の研究の内容からも外れますが、なるべく分かり易くご紹介したいと考えています。
 
Title
Genetic Evidence Points to an Osteocalcin-Independent Influence of Osteoblasts on Energy Metabolism
 
Authors
Yoshihiro Yoshikawa,1 Aruna Kode,1 Lili Xu,1 Ioanna Mosialou,1 Barbara C Silva,1 Mathieu Ferron,2 Thomas L Clemens,3 Aris N Economides ,4 and Stavroula Kousteni1
 
Journal
Journal of Bone and Mineral Research, Vol. 26, No. 9, September 2011, pp 2012–2025

近年、骨が骨芽細胞特異的なホルモンであるオステオカルシンを通じて、グルコース代謝を制御していることが示されている。
 オステオカルシンは肝臓のβ細胞を増殖させ、インスリン分泌量とインスリンの感受性、また、エネルギー支出を増大させる。
 これらの発見により、骨芽細胞の減少がオステオカルシンに依存したグルコース代謝系に影響を与えると予想された。
 
 筆者らは骨芽細胞を除去したマウスを作成し、この仮説の検証を行った。
 骨芽細胞除去マウスは、オステオカルシンの欠損によって、低インスリン血症、高血糖症、グルコース不耐症、また、インスリン感受性の減少が見られた。
 しかし、オステオカルシンの発現自体を欠損させたマウスの場合では、骨芽細胞の除去によって生殖腺の脂肪の減少、エネルギー支出の増加、また、インスリン抵抗性を上げるレジスチンの発現が見られた。
 骨芽細胞除去マウスに対してオステオカルシンを投与すると、グルコース不耐性が完全に治癒、血中グルコース、インスリン濃度が通常値に回復。しかし、インスリン感受性は一部回復したにとどまり、生殖腺の脂肪重量、エネルギー支出には影響がなかった。
 
 これらの結果から、骨芽細胞がグルコース恒常性とエネルギー支出に不可欠であるという説が裏付けられた。
 また、オステオカルシン以外の骨芽細胞由来ホルモンが、エネルギー代謝制御因子として働いている可能性があることが示された。

北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月19日(西野)

皆様
 
おはようございます。学部4年の西野です。
来週の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。
 
Title
New and highly efficient expression systems for expressing selectively foreign protein in the silk glands of transgenic silkworm
 
Authors
Aichun Zhao, Tianfu Zhao, Yuansong Zhang, Qingyou Xia, Cheng Lu, Zeyang Zhou, Zhonghuai Xiang and M. Nakagaki
 
Journal
Transgenic Reserch (2010) 19:29-44

我々は、遺伝子組換えカイコの繭における組換えタンパク質の生産効率を評価するために、3つの異なるフィブロインH鎖発現システムを作成した。その結果、3つの異なるEGFP/H鎖融合遺伝子は全て、選択的に遺伝子組換えカイコの後部絹糸腺(PSG)で発現していた。最も高い効率のH鎖発現システムを使った時は、遺伝子組換えカイコの繭中の組換えタンパク質の量は15 %w/w)にも及んだ。我々の知る限りでは、文献にあるカイコの絹糸腺発現システムと比較して、この研究で開発した高効率発現システムは、今日まで最も効率的なカイコ絹糸腺発現システムである。この発現システムは、外来性の遺伝子産物と新規の機能的なシルク材料を作り出す最も優れた候補である。また、実験結果から、N末端ドメインとH鎖遺伝子のイントロンは、それぞれ、フィブロインの分泌とその転写に重要だということが示唆された。

 
 
transgenic silkwormを使って、組換えタンパク質をより効率的に作るためのコンストラクトの作成と、その検証をしたという内容の論文です。
普段皆さんが読んでいる論文とはだいぶ内容が異なるとは思いますが、よろしくお願いいたします。
 

北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月12日(北村)

みなさま
 
お世話になっております。M1の北村です。
来週の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。
 
Title
Secretion and proteolysis of heterologous proteins fused to the Escherichia coli maltose binding protein in Pichia pastoris
 
Authors
Zhiguo Li, Wilson Leung, Amy Yon, John Nguyen, Vincent C. Perez, Jane Vu, William Giang,
Linda T. Luong, Tracy Phan, Kate A. Salazar, Seth R. Gomez, Colin Au, Fan Xiang,
David W. Thomas, Andreas H. Franz, Joan Lin-Cereghino, Geoff P. Lin-Cereghino
 
Journal
Protein Expression and Purification 72 (2010) 113–124

大腸菌由来マルトース結合タンパク質(MBP)は、大腸菌による異種タンパク質の発現を向上させるためのフュージョンパートナーとして利用されている。
微生物を用いた発現系で、カーゴタンパク質(目的タンパク質)のN末端側にMBPを融合させると、MBPは細胞内タンパク質の可溶性、
分泌タンパク質の細胞外への輸送効率を向上させるということが知られている。筆者らは初めに、メタノール資化酵母Pichia pastorisにおいて、
MBPが同じような働きを示すかどうかを調べた。この酵母を用いて、MBPといくつかのカーゴタンパク質のN末端側に結合させた状態で発現させると、
MBPとカーゴタンパク質の間でプロテオリシスが起こり、MBPのみが細胞外へ分泌された。しかしながら、3種類のタンパク質のうち2種類では、
カーゴタンパク質も細胞外へ分泌され、初期の段階でのMBPとカーゴタンパク質の結合が、細胞外への分泌を促進したということがわかった。
MBPとカーゴタンパク質の間のスペーサー配列の広範な変異導入では、プロテアーゼの標的部位に変異を加えたにもかかわらず、
分解を抑制することができないということが、質量分析により確かめられた。これらの結果から、性質不明のP. pastoris由来のプロテアーゼが
スペーサー配列とカーゴタンパク質自身を含むMBPのC末端側の領域にアタックし、プロテオリシスを引き起こすが、
MBPは特定のカーゴタンパク質の分泌を促進しているということが示唆された。

よろしくお願いいたします。

北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月12日(三浦)

 皆様

来週の雑誌会で紹介させていただく論文です。

Title:
Residue-Resolved Stability of Full-Consensus
Ankyrin Repeat Proteins Probed by NMR

Journal:
Journal of Molecular Biology(2010)
VOL 402, pp. 241-258

Authors:
Svava K. Wetzel, Christina Ewald, Giovanni Settanni,
Simon Jurt, Andreas Pluckthun and Oliver Zerbe

よろしくお願いいたします。

北海道大学 蛋白質科学研究室 雑誌会12月5日(坂井)

 
みなさま
 
こんにちは。
来週の雑誌会で紹介させていただく論文の概要です。
 
Title
C-terminal amidation of PMAP-23: translocation to the inner membrane of Gram-negative bacteria
 
Authors
Jin-Young Kim • Seong-Cheol Park •Moon-Young Yoon • Kyung-Soo Hahm •Yoonkyung Park
 
Journal
Amino Acids (2011) 40:183–195

PMAP-23はブタの骨髄細胞由来の強力な抗菌活性をもつペプチドである。
一般的に、抗菌ペプチドのC末端アミド化には、構造安定性の増加、抗菌活性の増加(または細胞毒性の低下)等の
効果があることが知られている。
この論文ではPMAP-23の作用機序に対するアミド化の影響を調べるために、PMAP-23C(C末free)とPMAP-23N(C末アミド化)の
2種類のペプチドについて以下の項目を測定し、比較した。
 
調べた項目
抗菌活性・溶血活性・細胞毒性・LPS中和能・二次構造・膜脱分極・膜相互作用
結果(一部)
・PMAP-23CとPMAP-23Nのグラム陰性菌に対する抗菌活性は同程度
・PMAP-23Nは菌内膜の二重膜に垂直に配向しているが、PMAP-23Cは二重膜に平行に配向している
 
これらの結果から、
PMAP-23のC末端アミド化は構造安定性、ペプチドのプラス電荷の増加、菌内膜への侵入促進に寄与していると考えられる
 
 
よろしくお願いします。

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